漢方内科
・漢方薬とは
漢方薬はもともと中国の伝統医学で、植物や鉱物などの天然成分を使って治療効果を得ることが特徴です。現在日本で処方される漢方薬(和漢薬)は、それが日本に伝わり、日本人に合せた形で独自に発展してきたものです。
漢方薬には様々な処方があり、西洋薬が効きにくいタイプの消化器症状、感冒(かぜ)、冷えやほてり、気象変化による体調不良などにも有効な場合があります。また、近年では新型コロナ感染症の急性期の治療においても安全に使用でき、発熱症状の緩和や重症化抑制に貢献できる可能性も示唆されています。
・気血水とは
漢方では、体の状態や治療法を見つけ出す方法のひとつに気血水(きけつすい)があります。気(エネルギー)、血(血液)、水(体内の血液以外の液体)のバランスが崩れると、体に不調が起きて病気になりやすいと考えられています。
気:生きるために必要なエネルギーを指します。先天の気(両親から受け継いだもの)と後天の気(食事や外気から得られるもの)があります。気が不足すると体が疲れやすくなります。
血:体の中を流れる赤い液体を指します。血は全身に栄養を運び、肌や髪の毛を潤す働きがあります。血が不足すると栄養不足や乾燥肌などの症状が現れます。
水:血液以外のカラダの中の水分を指します(唾液、汗、リンパ液など)。水はカラダ全体にうるおいを与え、余分な熱を抑えて排出する働きがあります。水が不足すると乾燥や便秘などの症状が現れます。
・漢方的診察
漢方医学における診察は、四診(ししん)と呼ばれる4つの方法を用いて行われます。これらの方法によって、患者さんの「証」を診断し、適切な漢方薬を選定します。
望診(ぼうしん):患者さんの外見や様子から身体の特徴や雰囲気を診断します。
聞診(ぶんしん):患者さんの声の大きさや張り、咳、呼吸音などを耳で聞いて診断します。
問診(もんしん):漢方的な要素が加わった質問で、便通、睡眠状態、食欲、身体の冷えなどを詳しく聞きます。
切診(せっしん):脈診や腹診を含む診察方法です。脈診では脈の状態を観察し、腹診では腹部の筋肉の緊張度合いから体力や気血水の状態を把握します。舌診も切診の一部で、舌の状態から診断します。